サッカー選手の育成は工場製品とは違う
DBのトレーニングセンターは、サッカーの練習だけでなく、食事、教育まで良く管理され、サッカー界の「トヨタの工場」のようだ。
ただ――。
工業製品は正しく設計図を作り、間違いのない部品を組み上げれば失敗はない。一方、サッカー選手は“生もの”である。将来性を見極めることは非常に難しい。
先天的な身体的能力、技術に加えて、頭脳、精神力、自制心が必要となる。成長速度も様々だ。それぞれ個性があり、ちょっとした躓きで才能が消えてしまうこともある。
DBからクラッキ(才能ある選手)が産まれるか――。
まだ判断を下すには早いが、すでに創立当時から方向を転換している。
DB設立を推し進めた、当時のCEOだったジュリオ・マリスはすでにトラフィックを去った。かつてスカウトに起用していた著名な選手たちもいない。育成する選手の数も絞った。規模を縮小しながら、赤字を出さないように運営を続けている状態だ。
トラフィックの人間はみな、賢そうで、つるんとした銀行員のような印象がある。個性の強いブラジルのサッカー界の強者と比べると、迫力に欠ける。
その彼らが混沌たるブラジルのサッカー界に新風を吹き込むことができるのか、今後を注視したい。
【了】
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