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“海外組”は本当に適応できているのか? 言語問題で孤立する日本人選手たち

外国でプレーする日本人選手は年々増えているが、現地に適応できず帰国する選手も少なくない。その「失敗」の理由として、しばしば「言葉の問題」が挙げられる。しかし、サッカー選手に外国語力は必要なのだろうか。3月10日発売、最新号の『サッカー批評issue67』(双葉社)では、欧州でプレーした日本人選手と日本人選手を良く知る欧州サッカー関係者にインタビューを敢行した。その一部を抜粋して掲載する。

text by カイ・サワベ photo by Ryota Harada

【サッカー批評issue67】掲載

乾貴士の孤立

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「乾が自分の世界に閉じこもっている」というFrankfurter Allgemeine 紙の記事(Web版)

 2014年1月17日ドイツの高級全国紙『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』に、日本のサッカーファンにとってはショッキングな記事が載った。同紙が本社を置くフランクフルトのサッカークラブ、「アイントラハト・フランクフルト」に所属している日本代表の乾貴士が「チーム内で孤立している」というのだ。

 この記事によると、乾は在ドイツ3年目になっても未だに通訳を付け続け、現地の日本人社会にどっぷり漬かってチームメイトとの親交も殆どなく、「自ら孤立を選んでいる」ということになっている。この記事の見出しは「自分の小さな日本社会の中で」だった。

 ドイツでの1年目、2年目は大活躍してステップアップしたといえる乾だが、3年目の今シーズンは出場試合数が激減した。

 その理由はなんだろうか?以下様々な証言を引用しつつ、「外国で失敗しない」サッカー選手の条件について考える。

「その瞬間、空気が凍ったのを今でも覚えている」

 松井大輔がフランスのル・マンへ移籍して2年目のある試合のハーフタイム、ロッカールームでの出来事だ。監督に「試合に出たくないのか!?」と怒鳴られて、言っている意味もよくわからないのに、松井は思わず「出たくない」と言ってしまったのだ。

 周囲の「異変」に気づき、すぐに「もちろん出たいです」と言い直したが、試合後にチームメイトから「理解できてなかったんだろう?」とからかわれた。松井はル・マン移籍後3ヶ月で通訳から離れ、このときもまだそれほどフランス語が達者ではなかったが、ロッカールームではチームメイトと同じように通訳なしで監督の指示を聞いていた。

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