乾貴士の孤立
2014年1月17日ドイツの高級全国紙『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』に、日本のサッカーファンにとってはショッキングな記事が載った。同紙が本社を置くフランクフルトのサッカークラブ、「アイントラハト・フランクフルト」に所属している日本代表の乾貴士が「チーム内で孤立している」というのだ。
この記事によると、乾は在ドイツ3年目になっても未だに通訳を付け続け、現地の日本人社会にどっぷり漬かってチームメイトとの親交も殆どなく、「自ら孤立を選んでいる」ということになっている。この記事の見出しは「自分の小さな日本社会の中で」だった。
ドイツでの1年目、2年目は大活躍してステップアップしたといえる乾だが、3年目の今シーズンは出場試合数が激減した。
その理由はなんだろうか?以下様々な証言を引用しつつ、「外国で失敗しない」サッカー選手の条件について考える。
「その瞬間、空気が凍ったのを今でも覚えている」
松井大輔がフランスのル・マンへ移籍して2年目のある試合のハーフタイム、ロッカールームでの出来事だ。監督に「試合に出たくないのか!?」と怒鳴られて、言っている意味もよくわからないのに、松井は思わず「出たくない」と言ってしまったのだ。
周囲の「異変」に気づき、すぐに「もちろん出たいです」と言い直したが、試合後にチームメイトから「理解できてなかったんだろう?」とからかわれた。松井はル・マン移籍後3ヶ月で通訳から離れ、このときもまだそれほどフランス語が達者ではなかったが、ロッカールームではチームメイトと同じように通訳なしで監督の指示を聞いていた。