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Jリーグ 11年前

お金がなくても愛される松本山雅FC。徹底して地域密着にこだわる地方クラブのあり方

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

このクラブにとって一番の生命線は、サポーターの応援とボランティアの協力

 まずは、昨シーズンの総括と予算についての考え方について。加藤によれば、チーム運営の最低限の基盤はできたものの、まだまだ試行錯誤は続いているとのこと。しかし一方で、J1昇格に向けた具体的なシミュレーションも進んでいることも明かした。

「まあ、欲を言えばきりがないんだけど、この2シーズンの山雅の戦いは松本の人々の心を惹きつけたと思うし、チームの成長についても非常に満足しています。このクラブにとって一番の生命線は、やっぱりサポーターの応援であり、ボランティアの協力なんですよね。

 だからクラブとしては、地域の盛り上がりをもっと膨らませながら、アルウィンを満員にすることを目指してクラブ運営しなければいけない。そのためにも、魅力ある試合を見せていく必要があると思っています。

 今の山雅は、予算規模に合った運営体制をしっかり確立していくことが、まだまだ求められている段階です。自分自身、『これが正しい』というのはまだなくて、試行錯誤は続いています。

 もちろんチームを運営するための最低限の基盤はできたと思うんですけど、プラスアルファで強くしようと思ったら、平均入場者数をさらに増やしていくとか、もっと大きなスポンサーを獲得するとか、そういうことを考えないといけない。もちろん、このご時世だと難しいのは言うまでもないですが。

 現在、手元にある予算の中で、チーム強化に使えるお金を捻出することを考えた場合、収益を増やすと同時に、運営にかかる固定費のところを圧縮する作業も進めていかないと、効率的なクラブ運営っていうのはできないですね。アカデミーの事業展開をはじめとして、かかるコストも増えてきているんですけど、もう一度いろんな部分を精査する段階にきていると思います」

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