忘れられた存在。ムードメーカーになれる安田理大
[ムードメーカー]にはサイドバックの安田理大(鳥栖)をあげたい。彼の場合は日本代表で7試合に出場し、ザッケローニ監督のスタイルも良く知っているが、酒井宏樹や酒井高徳の成長によってある意味、代表候補としては“忘れられた存在”だ。
約3年を過ごしたオランダでは1対1や守備、慣れない環境での振る舞いなど多くのことを学んだはずだが、しばらく出番に恵まれなかったこともあり、昨年の9月に復帰した磐田では、持ち前の推進力や運動量が明らかに落ちていた。
そしてJ2降格を経験した安田は鳥栖で再スタート。「実際に入ってみて、みんなの戦う姿勢、トレーニングの姿勢にびっくりするくらいの熱いものを感じたと思う」とユン・ジョンファン監督が語る様に、走り込みで体を絞った安田は「メッチャ練習きつかったから。体重は3キロくらい落ちました」と語る。
浦和戦では持ち前の縦の突破力と左足のクロスで豊田陽平の先制ゴールをアシストしたが、驚かされたのは90分間に渡り勝利のために走り、体を張り続けたことだ。
「サッカー選手としたら絶対目指さなあかんとことやと思う」と本人もブラジル行きを諦めてはいない。もともと代表チームに入っても全く物怖じせず、思ったことは相手が本田圭佑や長谷部誠であろうと、遠慮なく言えるタイプ。
しかも、常に前向きな姿勢はチームのメンタルが何かで落ちかけた時にグッと引き上げるものがある。時に“お調子者”と取られる部分もあるが、挫折を経験して這いあがってきた男がチームに与える力は小さくないだろう。
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