完成度の高さでは圧倒的にアトレティコ
そうして後半も20分が過ぎると、もがいていたミランの足が止まり、中盤が完全にルーズな状態になる。こうなれば、アトレティコは楽に試合を閉めるだけだ。守るだけでなくカウンターでも相手を脅かした彼らは、後半24分にFKをゲット。
コケの正確なプレースキックからラウル・ガルシアがシュートを決め、ミランの戦意を断った。試合終了直前にもう1点を追加した彼らは、完膚なきまでにミランを叩いて8強進出を決めた。
シメオネ監督のサッカーは、半年間ながらカターニア時代に観ている。守備の規律を各選手に徹底させ、タフなプレスで相手の組み立てを潰しつつ、スピーディなカウンターをベースとした攻撃で着実にゴールを奪うアグレッシブさも備えたサッカーだった。今のアトレティコも基本的にその姿勢は変わらず、しかも3シーズン渡る指導により、選手個々へ戦術が浸透している。
劣勢にもひるむことなく、試合中の修正にもなんなく成功。まさに、チーム力でもぎ取った勝利。完成度の高い彼らに対し、シーズン当初から迷走が続き、指導者経験のないセードルフを担ぎだして2ヶ月間の試行錯誤が続くミランが勝とうというのは、最初から難しい注文だったのかもしれない。
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