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完成度高いアトレティコに為す術なし。迷走ミラン4失点、必然の惨敗

text by 神尾光臣 photo by Kaz Photography

試合の流れを変えたシメオネの采配

 これでミランが追加点を奪い、アウェイゴールを積み重ね逆転すすれば、アトレティコ・マドリーがアウェイで先勝したのも水泡と化してしまう(編注:1-2となればミランの勝ち抜けだった)。

 一層ペースを上げて攻めるミランに対し、ジリ貧となっていたのを読み取ったシメオネ監督は、素早く手を打った。ジエゴ・コスタを前線に一人残し、ラウル・ガルシアを一列下げて4-5-1へとシフトする。攻守を切り替え、ビルドアップの根元となる相手のボランチに対してプレッシャーを掛けようという算段だ。

 そして、偶然ながらこれも実った。40分、右MFからトップ下へポジションを移したアルダがミドルシュートを放つ。ラミの背中に当たったボールは、イレギュラーな形でアッビアーティの逆を突きゴールへと吸い込まれた。

 ラッキーな得点ではあるものの、それに至る前の段階では、ミランのDF陣の間でマークの受け渡しにミスが生じ、その結果アルダがフリーとなってしまっている。これを生んだという点で、シメオネの采配は当たったというわけである。

 事実上、これで勝負は決したようなものだった。ハーフタイムにセードルフ監督は不発だったターラブを下げ、よりFW的な性格のロビーニョを投入。攻める姿勢は見せるミランだったものの、2点を取らなければならない状況ならば自ずと攻撃が単調となり、前半のような左右の揺さぶりが段々と出来なくなっていく。

 逆にアトレティコ・マドリーにとっては、余裕をもって守備が出来る状況。自慢の守備ブロックの堅さを活かし、バロテッリにカカー、そしてロビーニョと、危険な相手はことごとく囲んで潰し、相手の攻撃の流れを切った。

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