求められる安定感のその先
ただトリノは、高速2トップの存在をいいことに後方の守備をがっちり固めるチーム。中央のスペースはなく、パラシオ、イカルディの2トップには恒常的にDFが張り付く。そしてサイドの守備に付いても、良く対策されていた。
長友が上がって行った際には、まずインサイドMFが張り出して当たりに行き、WBはその後ろのスペースを埋めて来る。右もまた然りで、5得点を挙げている長友の“好物”であるファーサイドへのクロスも事前に切られていた。
「オレら、相手のDFラインの前でぐるぐるボールを回していただけじゃねえか。マッツァーリはサッカーを教えるのが下手だ」
試合後、そう語る地元ファンの反応も耳にした。堅いディフェンスに対して、一発のクロスで局面を崩す。そうした毎試合コンスタントに出来るようになれれば、それこそ本当にワールドクラスだ。そしてそういった姿こそ、長友本人の見据えているものだろう。
チームもこれで5試合連続無敗、4位フィオレンティーナとの勝ち点差も1に迫り、再び復調ペースへと乗せてきた。攻守両面で穴がないことに加え、クオリティの高さをも毎試合保証するような安定感が身についた。長友に求められるのはその次の段階である。
【了】