「だってただのフレンドリー(マッチ)じゃん。おまけにまだ3月だよ」
よくコップに半分入った水をさして、「半分も」入っている。「半分しか」入っていない。と、ポジティブ、ネガティブ診断をしたりするが、彼らにとっては、「3ヶ月も」あり、「4試合も」残っているということなのだ。
日本もそうかもしれないが、フランスなどは本戦前の合宿メンバーを絞り込む前の最後の試合ということで、これまで起用していない新人や今季活躍している選手を試す、といった意味で、この3月5日のテストマッチはメディアでもかなり重要視されていた。
のんきだったのは記者たちだけではない。
試合当日のスタジアムは、ガラガラだった。メインスタンド側を占めていたのは韓国ファンで、太鼓とマイクで90分間切らすことなく盛大な応援を続けていた。それに比べて、ギリシャサポーターのささやかだったこと…。
サッカー好きだというホテルのフロントのお兄ちゃんに、「なぜあんなにガラガラだったのか?」と聞いてみると、何を当たり前のことを聞くのか、という顔で「だってただのフレンドリー(マッチ)じゃん。おまけにまだ3月だよ。もっと本戦に近くなったら満席になるんだって!」と言う。それがギリシャ人なのだ、と。
それは本当なのかもしれないが、残念ながら本戦までのギリシャ国内でのテストマッチはこれが最後だった。大会後に辞任するサントス監督は「負けた、という結果も残念だが、わたしの最後のギリシャでの試合だというのに、人々が足を運んでくれなかったことが、非常に寂しい」と恨み節だった。