後ろ向きだったJリーグでの議論
待ち合わせのカフェに広報も秘書もつけず、たった1人で現れた。取材前のあいさつでは、クラブの経営トップ自らが話すことの意味をもったいぶるわけでもなく、サラッと述べる。
「僕がしゃべる時は、絶対に包み隠さず本当のことをしゃべります。だからニュースソースを『関係者』とかにせず、『社長が言った』と必ず書いて下さい。選手が記事を読んで、あ、社長はこう思ってくれているんやと、僕の意志がきちんと届くことを考えています」
2014年度Jリーグ開幕時の話題を一手にかっさらったのは、この岡野雅夫社長が舵を執るセレッソ大阪だった。柿谷、山口、南野、扇原ら「セレ女」現象を巻き起こした若いタレントを育て上げた上に、ランコ・ポポヴィッチ監督の登用、そしてフォルランの獲得という英断を下した。
育成型のクラブ経営を標榜しつつ、ビッグネームへのアプローチも厭わない。その哲学の源を改めて聞いてみた。
――フォルラン効果もあり、開幕戦のチケットの売れ行きも絶好調です。今年は観客動員記録に大きな期待もかかります。Jリーグに活気をもたらしているセレッソの攻めの経営のプロセスを教えて頂けますか。
「順を追って話すと、去年の3月に僕はJリーグの理事になったんですが、そこではJリーグそのもののスポンサーが人気がないので降りるとか、テレビ中継しても視聴率が下がるとか。みんなが後ろ向きの議論を始めていたんです。
そこでやろうとしたことが大会方式を変えることによって山を作りましょうということでした。山を作って、その山ごとにスポンサーについてもらってなんとかお金を維持していきましょうと」