「自分だったら『ここを埋めていた』というのは多少なりともありましたね」
彼の仕事は前半45分で終了。後半は遠藤・細貝萌のコンビとなり、山口はベンチで彼らの一挙手一投足を見守った。しかし後半の日本はさらに連動性を欠き、膠着状態に陥ってしまう。後半45分だけを見れば0-1と、日本としては不完全燃焼感が拭えなかった。
「ヤットさんが入ってボールは落ち着いていた。守備の部分では、4人も代わって連携の部分に問題があったのかもしれないけど、自分だったら『ここを埋めていた』というのは多少なりともありましたね」と山口も厳しい視線で試合を見ていた。
そうやって歯に衣着せぬ発言ができるのが、彼の大胆かつ繊細なところ。自分が徐々にチームの中心になりつつあるという自信も生まれつつあるのだろう。
今回は1試合の半分に出ただけで終わってしまったが、彼の本当の戦いはこれからだ。5月上旬には最終登録メンバーの発表があり、そこからW杯本番に向かうことになる。ザックジャパンでの試合経験が少ない山口は、他の選手との連携をより向上させ、万全の体制を整える必要がある。
本大会で対峙するのがコートジボワール、ギリシャ、コロンビアという強豪相手ということを考えると、守備力の高い細貝とのコンビを磨くことも1つのテーマではないか。本人もその重要性を認識している。
「(細貝選手は山口選手とはやりやすいと言っていた?)それはあると思います。2人で組めばより前から行けるし、守備のところでお互い似たような感覚なんで、プレスをかける、行くってのも大体お互いに分かりあえるところがある。
同じタイプの人とはまだ組んだことがないんで、2人でやるのは楽しみですし、ぜひやってみたいなっていう思いもあります」と山口自身も強い意欲を示した。
優れた感性と適応力を持ち合わせたこの男なら、誰と組んでも的確なパフォーマンスを見せられるはず。本大会までの2カ月余りで、山口がどれだけレベルアップできるか。ザックジャパンの未来を担う新ボランチに懸かる期待は大きい。
【了】