香川加入によるアジア展開
ページをめくると、マンチェスター・ユナイテッドのユニフォームに身をつつんだウェイン・ルーニー、アントニオ・バレンシア、そして香川真司の3選手がポテトチップスの『ミスター・ポタト』のユナイテッドバージョンの商品を手にし、正面を向いている写真が見開きで使われている。
特集記事のタイトルは「フットボールスポンサーシップのデリケートな一面」。マンチェスター・ユナイテッドのセールス戦略について紙面が割かれていた。
A氏は言う。
「この記事に登場するリチャード・アーノルドこそ、ユナイテッドのスポンサーセールス戦略を推進する中心人物です」
コマーシャル・ディレクターのアーノルドの姿は、ユナイテッドとグローバルパートナーシップを締結した関西ペイントの発表記者会見で拝見していた。オールド・トラッフォードの記者会見には香川真司も登場。アーノルドはクラブを代表して、会見に臨んでいる。
「ユナイテッドがプレゼント攻勢を日本でも展開したということは、それは本気で、日本マーケットに殴り込みをかけた証拠ですね。香川が加入したことで、ここが勝負どころであると踏んだのでしょう。
その手法は、イギリス国内はもとより、北米や韓国でも行った手法です。まず相手が喜ぶと彼らが考えるプレゼントを贈り、企業トップとアポイントを取る。取締役はもとより、広告代理店は一切介しません。『なぜ代理店を使わなければならない? 我々は“あの”マンチェスター・ユナイテッドだぞ』というのが、彼らの態度なのです。
傲慢? そうですね、そう思われても不思議ではないでしょうね。ただ、そのアプローチにより、アメリカからはシボレーやエーオン(AON)、ドイツからはDHLといった国際的企業を引っ張ってきたわけですから、今後もやり方を変えるとは思えません。私には、経費の無駄使いにしか見えませんが(笑)」