1失点目はなぜ起きた?
それまでのちょっとしたピンチは全体をコンパクトにしていた中で、プレスを外されたところで相手が抜け出しかけたものだったが、初めて攻守の切り替わりから自陣の深いところまで持ち込まれたわけだ。
試合のマネージメントを優先するなら、このあたりで一度ペースを落とし、自陣でしっかりポゼッションしてオープンからオープンに展開するのが1つのセオリーだ。しかし、日本の選手たちはそれまでと変わらず、サイドを起点としながら素早く中にボールを入れ、本田を軸に縦の仕掛けを続けた。
序盤と違い、ニュージーランドは1トップに変更した上でボランチのペインをDFラインのすぐ手前まで下げ、中盤のアンカーというよりフォアリベロの様なポジションに固定することで、守備を広げながらCBの間も補完する形を取り、サイドから中に入ってくる日本の攻撃に対応した。
さらにボールを持てば、日本のゾーンの中で細かいパスをつながずに自陣でワイドに展開しながら、前線のウッドにロングボールを当ててきた。日本はセカンドボールを拾えず中盤が無く敵陣と自陣を往復する、いわゆる“ボックス・トゥ・ボックス”の流れになっていたのだ。
「残り15分はちょっとスペースが空いて、間延びした。ボランチのバランスも崩れた」と山口は振り返る。そうした状況が続く中で前半39分の失点場面につながったわけだが、選手たちが反省したのは情勢的にも、体力的にも苦しい時間帯で前線と後ろの守備の意識にズレがあったことだ。
ペインのロングフィードに対して酒井宏樹が受け手のボイドを潰せず、追い越したウッドを右の深い位置で山口と挟みに行ったが破られ、厳しい角度のシュートをブロックに行った森重の足にボールが当たり、ゴールラインを割られた。
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