ラームを中盤に。レーブ監督の考えにも変化が
ラームの起用法だけではない。バイエルンではCFのポジションにマンジュキッチだけでなく、ドイツ代表にも名を連ねるミュラーやゲッツェがそのポジションに入ることもある。CFに依存しないサッカーを目指せば、途端に候補者は姿を現し始める。
もはやペップ・バイエルンはドイツ国内で誰も無視することの出来ない存在だ。昨年11月のイタリア戦のあとで「ラームが右サイドバックを担うというプランに変わりはない」としたレーブも、この対チリ戦では現ドイツサッカーにおいて最高の知性を持つ男をMFとして起用した。
6月のブラジルが眼前に迫り、レーブは日常の中だけでなく夢の中までも代表チームのスタイル、選手の起用法について考えを巡らせていくことだろう。代表チームを率いる監督の宿命でもある、制約とともに。
しかし制約は創造の源でもある。制限は人を工夫へと掻き立てる。CFの人材不足という現状は、ドイツ代表とレーブをどこへ導いていくのだろうか。
そしてその道すがら、ひとりのスペイン人の影が見え隠れする。
ペップ・グアルディオラは、情熱を注ぎ込むバイエルンの選手たちが悪戦苦闘するドイツ代表を、どのような思いで眺めているのだろうか。
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