「佑都じゃなかったら褒めるんでしょうけど、相手が佑都なんでね」
ただ、この日はその彼以上に強い自分を押し出した選手がいた。同期で隣のクラブ・インテルミラノでプレーする長友佑都だ。彼がザッケローニ監督や遠藤保仁や川島永嗣に「キャプテンマークを巻きたい」と直訴し、初めて代表戦でリーダー役を務めたことに、本田も少なからず刺激を受けたようだ。
「キャプテンに関しては佑都から直接、僕にも話はありました。佑都は数年前からそういう自覚が強まっていた。ピッチ上だけじゃなくて、食事会場や他の選手と話している時にも、そういうコメントが多くなってきていましたから。
彼自身もそういうものを巻くことによって、何か違う立場、責任を背負って、違う景色を見たいんじゃないかなと。もっと伸びようとしているんじゃないですかね。
(本田世代の台頭?)僕自身は20代前半の頃からチームを引っ張っているつもりでいたんで、年齢が上がっても状況は変わらないですけど、周りがそういうふうにキャプテンマークを巻くっていう事実があることを新鮮に感じる部分はありますね」
その長友がインテルでキャプテンマークを巻く回数が試合を増えていることに、本田も無関心ではいられない。同じイタリアで一足先に成功を収めつつあるチームメートと自分を対比しながら、こんな話もしていた。
「佑都もインテル4年目になるんですか。そういう中でいろいろあって、信頼されて、勝ち取って何回かつけたキャプテンマークでしょ。今後ずっと任されるようになれば、それはすごいことですね。佑都じゃなかったら褒めるんでしょうけど、相手が佑都なんでね。あんまり褒めすぎるのもタイプ的にどうかなと思うし(苦笑)。
(その長友との適応の違い?)スタイルは全然違いますよね。佑都は良くも悪くもスッと懐に入っていくのがうまいから、たぶん最初はベテラン勢にもかわいがられたんじゃないかと思う。
だけど、俺は自分がベテラン勢からも最初は煙たがられるようなタイプ。それを変えたら俺じゃなくなる。佑都は佑都で自分のやり方で馴染んだわけでしょ。僕はこのスタイルで馴染むのを楽しんでいるんです」