岡崎への「4」が示すもの
トゥヘルの知略に上手く図られてしまったヒーピアは、後半に入るとスリートップの右に入ったシドニー・サムに代え、このところ重用し続ける17歳のアタッカー、ユリアン・ブラントを投入する。ブラントを中心に攻撃の重点を右サイドに移した。
しかし若く経験不足のブラントが、マインツ守備陣を打ち崩すことは出来なかった。ベンチに流れを変えることのできるメンバーが揃っておらず、まさにレバークーゼンの柔軟性のなさを突いたトゥヘルの見事な知性と言えるだろう。37分にチュポモティングが叩き出した1-0のスコアのまま、マインツが勝利を収めることとなった。
Kicker、Bild両誌の採点の仕方を眺めていると、勝ったチームの選手には軒並み高い点数が付与されることが多い。しかし、純粋に戦力の面で劣るマインツがアウェイの地で勝ち星を挙げたにもかかわらず、岡崎にはやや低評価である。
Kicker誌では、岡崎だけでなく、クとパク・チュホにも「4」という点が付与されていた。アジア人への偏見が含まれているのかとも勘ぐってしまうが、Bild誌ではチーム内でも岡崎のみが「4」であることを見てみると、そういう訳でもなさそうである。
対レバークーゼン戦で、岡崎には決定的チャンスが一つあった。28分のことである。チュポモティングの右サイドからの折り返しを、ペナルティ・エリアの中でクがスライディングしながら折り返す。
そして岡崎が放ったシュートは、相手GKベアント・レノに弾かれてしまう。確かに37分にはチュポが決めたが、ここを決めていたらチームにさらにいい流れをもたらせたかもしれない。「4」という数字には、絶好機を決めることが、CFの何よりの役目というメッセージが込められているのだろう。
チームは6位に浮上、ヨーロッパリーグの出場も十分に狙える位置である。そして岡崎が、決定機を外しはしたものの、ピッチを駆け巡る果敢な動きでKicker誌がヒーピアへの疑念を掲げることに一役買ったのは、間違いない。
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