見習うべきは長友
だが、期待に応えられてはいなかった。前線にボールは入らず、テベスを抜き損なってボールを奪われてからはミスも増えた。試合は事実上決した状態ではあるものの、周囲の信頼を得るためにも頑張って正確にパスを入れて欲しかった。
一列下での組み立ては中盤のプレッシャーを回避し、視野も取り易くなるという利点もあるのだが、それを活かせたのはようやくロスタイム、右のサポナーラにダイレクトで展開した一本だけだった。
得意なポジションで起用されてはいない。だが今は何より、与えられたチャンスの中で結果を出し、周囲からの信用を勝ちうることが先決なのではないだろうか。自分を探し、パスを付けてもらいたいのなら、やはり信頼関係の構築とそのための努力が不可避だ。それは隣のインテルで、長友がすでに証明している。
今の状況は厳しいが、外国人選手がイタリアサッカーの適応に苦労すること自体は珍しいことではない。ここから本田が、どういうふうに立ち上がって行くのかに期待したい。
コンフェデ杯で、キエッリーニやデ・ロッシを振り回しチャンスを作っていた彼に、少なくとも能力面での適合性がないとは思わない。
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