内容では上回っていたミラン
トップ下にはポーリ、2列目の左サイドにはカカがいて、右にはターラブが回されてきた。先発落ちとなり、しかもポーリが負傷すれば先にサポナーラが呼ばれ、後半25分に起用されたと思いきやポジションはゴールから遠いレジスタ。本田を中心に考えれば、ユベントス戦における彼の扱いは不憫だった感は確かに否めない。
結果は出せなくても、本人が得意とするトップ下で使わせてもらえないのだから仕方がないではないか。本田を活かしきれないセードルフ監督が無能で、ミランというチームが情けないのだ――現在の状況を見れば、そういう考えに及んでも不思議はない。むしろファン感情としては自然だ。
もしこれで、ミランがユベントスになす術無く大敗していたのなら、セードルフへの批判も大いに結構だろう。ただ問題(?)は、彼らが内容で相手を上回ってしまったことだ。
ELトラブゾンスポル戦から中2日でぶつかったユベントス陣営には疲労も残っており、それでも試合をものにした分ミランが弱かったとも言えるが、前半に7度あった枠内シュートが決まっていればどう転んだかは分からかった。
そのために、セードルフは戦術面での理屈付けをきちっとした上で、ユベントス戦のプランを立てた。そしてそれを成立させる上で、指揮官は本田よりも他の選手を選択したということだ。翻ってこの試合でのアプローチからは、定位置を勝ち得るために本田に足りないものは何か、そしてそのためには何が必要かという情報が読み取れる。
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