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欧州サッカーの勢力地図が変わるか。赤字経営の禁止、ビッグクラブに影響大の“ファイナンシャルフェアプレー”制度とは?

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

それでも大型補強止めないクラブ

欧州サッカーの勢力地図が変わるか。赤字経営の禁止、ビッグクラブに影響大の“ファイナンシャルフェアプレー”制度とは?
レアル・マドリーはガレス・ベイルをトッテナムから史上最高額となる1億ユーロ(約130億円)とも言われる移籍金で獲得【写真:Kaz Photography】

 そして、最も気になるのは、レアル・マドリー、パリSG、チェルシー、マンチェスター・シティら金満クラブが今シーズンも大型補強を敢行できた理由だろう。

 まず、レアル・マドリーはガレス・ベイルをトッテナムから史上最高額となる1億ユーロ(約130億円)とも言われる移籍金で獲得した。なぜこんな天文学的な金額を支払えたのだろうか。レアル・マドリーにはそれ以上の収入があるからだ。

 デロイトのフットボール・マネー・リーグによると、11-12、12-13シーズンに5億ユーロ(約700億円)を超える収入を叩き出している。5億ユーロ超の収入は、スポーツクラブとして史上初にも関わらず、2年連続で記録した。これは、悪名高き放映権収入による部分もあるが、敏腕実業家でもあるフロレンティーノ・ペレス会長の経営手腕によるところが大きい。

 カバーニに6400万ユーロ(約89億円)、マルキーニョスの3000万ユーロ(約42億円)を費やしたパリSGは、カタール観光局とスポンサー契約を締結。これは2016年までの契約で、その額は総額10億ドル(約1000億円)とも言われている。

 パリSGは、カタール王族系の投資グループが運営しているだけに、不透明な関係性が疑われているが、クラブ側は真っ当な契約であることを主張している。

 ウィリアン、シュールレ、ファン・ヒンケル、エトーを獲得したチェルシーは、ロシアにある世界最大の企業とも言われる「ガスプロム」とスポンサー契約を締結。このガスプロム社は、アブラモビッチ・オーナーの息がかかった企業と言われている。オーナーの関係会社はFFPに抵触するのだが、ガスプロム社の経営陣にアブラモビッチ氏の名前はない。

 さらに、ガスプロム社はUEFAの強力なスポンサーなのだ。チェンピオンズリーグの中継を見れば、ピッチ脇の看板に「GAZPROM」の名前を確認できる。これではUEFAがチェルシーを追求することは難しい。

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