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欧州サッカーの勢力地図が変わるか。赤字経営の禁止、ビッグクラブに影響大の“ファイナンシャルフェアプレー”制度とは?

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

イタリアは主力を放出し、厳しい状況に

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インテルは収入を大きく減らし弱体化した【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 セリエAのインテルは、マッシモ・モラッティ前会長時代の90年代中盤~2000年代まで毎年のように大型補強を敢行。膨大な赤字が増え続けるなかで導入されたFFPの影響によって、主力選手を次々と放出。

 モウリーニョ監督とともにヨーロッパ王者に輝いたエトーやスナイデルら主力を失ったチームは、CLはおろかELへの出場権すら獲得できないほどに弱体化して収入を大きく減らした。そんな悪循環によって、赤字も削減できない状況に陥ったことで、モラッティ会長はクラブの身売りを決定。インドネシアの大富豪であるエリック・トヒル氏に売却した。

 ライバルのACミランも大きな影響を受けたクラブの一つだ。イタリア首相でもあったシルヴィオ・ベルルスコーニ名誉会長のポケットマネーによって運営されてきたミランは、それを許さないFFPの導入によってチアゴ・シウバとイブラヒモビッチという2大スターをパリSGに売却。ベルルスコーニ氏の政治的失脚も重なって、財政難に陥ったチームは全盛期とは比較にならないほどの寂しい陣容となっていった。

 とはいえ、マイナス面だけではない影響もある。

 ビッグクラブが2000年代初頭に相次いで行っていたアジアや米国へのプレシーズンツアーを再開。特にサッカー人気が高い日本や韓国、タイ、インドネシアなどへのツアーはグッズやスポンサー収入の大幅なアップを期待できる。これもFFPを考慮してのことだ。

 コンディション調整の大事な時期に海外への長旅を強いられる選手には酷だが、我々日本人にとっては、普段見る事が出来ない欧州のスター選手を生で見る事が出来るのは嬉しい限りだ。

 さらに、アーセナルやバルセロナ、チェルシー、ミランなどビッグクラブが日本を含めた海外に小学生年代を対象にしたスクールを開校。これによって、欧州ビッグクラブのトレーニングを日本の少年たちが受けられるようになった。

 ただし、これらスクールの本来の狙いは育成ではなく、プロモーションにある。遠くはなれた日本などに自らの名前とエンブレムを冠したスクールを常設すれば、知名度やブランドイメージのアップにつながると考えている。

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