孤立する“ヘビーメタラー”香川
香川真司は、ポッゼッションサッカーにおけるゲームメーカーではなく、ショートカウンターで生きるセカンドアタッカーであり、まさにクロップ監督による「ゲーゲンプレッシングの申し子」なのだ。
そして、香川が現在プレーするチーム、すなわちマンチェスター・ユナイテッドと日本代表は、このゲーゲンプレッシングを取り入れていない、またはできないため、自らの能力をチームにおいて発揮できていないと言える。
サッカーは、ポゼッション率を競う競技ではなく得点数を競う競技。70%や80%のポゼッッション率で圧倒するサッカーも素晴らしいが、時に退屈に映ることもある。素早いカウンターで一気にゴールに迫るサッカーは、ハインテンションでスリリングなものだ。
クロップ監督によると、ポゼッションサッカーはオーケストラのように優雅で美しいが、ゲーゲンプレッシングは泥臭いヘビーメタルのようなもの。
ヘッドバンキングでテンションを最高潮にする人もいれば、壮大なクラシックにスタンディングオベーションを送る人もいる。つまり、「どちらにシンパシーを感じるか」ということであって、「どちらの方が素晴らしいか」ということではない。
香川真司は、このどちらでもない世界的な大御所ブリットポップグループに加入してしまったヘビーメタラーのような存在なのかもしれない。
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