ストイック型の引退フットボーラー
引退したフットボーラーの容貌は大きく何パターンかに分類することができると思う。諸般の事情により太ったり痩せたりする天才お騒がせタイプはその一例で、マラドーナや“ガッザ”ことポール・ガスコインはここにカテゴライズされる。
一番多いのはどんどん脹よかになってゆく人生謳歌型で、かなりふっくらして、おまけに髭を剃り落としてしまい誰なのか判別不能になってしまったデビッド・シーマンはその好例と言えよう。
こういう人を見ていると、実際の境遇はどうなのか分からないけれど、単純に、人生楽しんでいそうだなと、自分のイージーゴーイングな人生を棚に上げて、何となく嬉しくなる。
しかし、中には引退後もアスリート体型を維持するストイック型の人もいて(日本では北澤豪氏がここにカテゴライズされる)、こういう人を目の当たりにすると、その人の現役時代のプレイが鮮やかに脳裏に甦ったりするので、これはこれで、また嬉しいものである。
それまでの無慈悲な冬の天気とは打って変わり、すっかり暖かな春の日和となった二月末日に都内某所で見たアンディー・コールは、まさしくこのストイック型の引退フットボーラーであった。
がっしりとした体躯は未だに爆発的な得点力を秘めているように見え、歩く足取りやしなやかに、その力強い眼光は四十の坂を過ぎて尚、健在であった。現在、マンチェスター・ユナイテッドのアンバサダーを務めるアンディー・コールは、その仕事で世界中を回っており、今回はマン・ユナイテッド主催のイベントの為、来日したとの由。
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