西ロンドンでの「生涯最高の歓待」。ドログバは窒息?
逆にドログバは、本来の力を発揮することがより難しい。第1レグでの迫力不足には、モウリーニョのチェルシーを意識した精神面もあったと考えられるが、第2レグの舞台は4万人の旧友がスタンドを埋めるスタンフォード・ブリッジだ。
対戦が決まった直後、「2試合ともホームゲームだ」とツイートしたドログバだが、プライベートでは「ハッピーだけどナーバス。複雑な心境だ」という旨の携帯メールが届いたとランパードがコメントしている。
ファン投票による「クラブ史上最高の選手」には、キックオフ前から「ディディエ・ドログバ、ラララララ?」という歓迎と表敬のチャントが贈られるだろう。当人は、かつてのホームに充満する愛情で窒息状態に陥らないとも限らない。
モウリーニョいわく、ドログバには「生涯最高の歓待」が待ち受けている。3月18日の西ロンドン帰還が近付けば、メディアを通じて、改めてファンの英雄歓迎ムードを煽るのだろう。
指揮官は、「大切なのは過去ではなく現在と未来だ」と強調し続けている。若手の多い「現在進行形」のチームには、CLが「最良の成長促進剤」だとも言っている。その歩みを、ベスト16でドログバという名の過去に止められる事態など許さないはずだ。
「ナンセンス」という発言とは裏腹に、開幕当初から噂のある選手兼コーチとして、ドログバが再び戦友となる未来を快く受け入れる可能性はあるのだとしても。
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