かつての11番に仕事をさせなかったDF陣
ただし、選手のハートに訴える術に長けたモウリーニョではあるが、抜け目のない策士がセンチメンタルだけで物を言うとは思えない。勝算あっての対戦希望だろう。第1レグでのチェルシーは、カウンターを仕掛ける度に相手ゴールに迫った。
昨年9月末に監督がロベルト・マンチーニに変わった後も、ガラタサライの弱点が守備であり続ける事実は明白。先制ゴールを決めたフェルナンド・トーレスには、少なくとも他に二度の好機があった。
マンチーニがハーフタイムを待たずに中盤を厚くした後は、セットプレーが最大の脅威という攻撃面の限界も窺えた。そのキーマンがクロスの標的になるドログバだが、手の内を知るチェルシーDF陣は仕事らしい仕事をさせなかった。オープンプレーではテリーとガリー・ケイヒルが目を光らせ、セットプレーではブラニスラフ・イバノビッチが張り付いた。
例外は、ショートCKからイバノビッチが競り損なった一場面。ドログバのヘディングは枠外に向かったが、セルチュク・イナンが正確に押し込んでいれば同点となっていた。だが、実際に追いつかれた場面で、イバノビッチは再びドログバを力で押さえ込んでいた。
失点の原因は、ドログバがマークされている様子に気が緩んだのか、オレリアン・シェジューに届いたクロスを見送ったテリーの反応。今季は、モウリーニョ復帰と共に守備の要として復活したキャプテンが、集中力の維持を肝に命じて第2レグに臨めば再現は防げる個人ミスだ。