「セードルフとカカを表立って批判しにくい」
現在のミランが100年を超える歴史の中でも特に厳しい時期にいることも、本田の苦境を助長しているとカソッティ氏は指摘する。
「今のミランはセリエBに降格した1980年から83年の暗黒時代に次ぐ苦境に立たされている。本田が来てから1週間で監督が3人も変わり、今の指揮官はベルルスコーニ名誉会長と太いパイプがあるというだけで呼ばれた指導経験のないセードルフ。確かに彼はカリスマ性があるし、かつて選手としてミランで輝いていたが、現役最後の2~3年はルーズなプレーが多くてファンからもかなり文句が出ていた。
そのセードルフは4-2-3-1のシステムにこだわっていて、不慣れな右サイドで使われている本田は本当に不運だ。それでもメディアはミランの常勝時代を作ったセードルフとカカを表立って批判しにくいから、鳴り物入りで移籍してきたアジア人の助っ人の本田に矛先を向けている。その見方は間違っている」と彼は冷静に語る。
ミランを筆頭に、セリエAのビッグクラブは勝利至上主義が非常に強く、結果として計算のできるベテラン選手ばかりを起用しがちだ。現在の主力を見てもカカが31歳、ロビーニョが30歳、ボネーラが32歳、デ・ヨンクとパッツィーニが29歳と高齢化が著しい。
成績不振のままシーズンが終わらない限り、彼らはチームをガラリと変えられないのだ。カソッティ氏は「むしろCLにもELにも出られずにセリエAに専念しながらチーム改革をした方がミランはいい方向に進む」とさえ言い切る。
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