「外国の真似は愚かなこと。自信を持て」
宮本:南アフリカW杯からブラジルW杯までの4年間で日本代表は成長したと思いますか?
オシム:日本は、ようやく本来あるべき場所を占めつつあるというのが私の感想だ。サッカーは国力をある程度反映したものであり、日本の経済力や国際的影響力を考えれば(当然だ)。
経済で考えた場合、ある経済大国が国際的なビジネス市場から除外されているのは不自然だろう。そういう意味では、日本が(サッカーの分野で)世界に追いついてきたということだ。
宮本:成長していない、変わっていないところはどこですか?
オシム:私が日本にいた時に感じたのは、自分たちの持っている「自然資産」を日本人があまり活用していないということだった。つまり、日本人に備わっているもの、「特徴」のことだ。
日本人は身体的に背も高くないし、世界ではハンディキャップがある。だが、運動能力(動き回る能力)、積極性(アグレッシブなこと)、技術力の高さなど、日本サッカーが拠って立つべき資質がある。これらは現代のサッカーにとって必要なものばかりだ。
ほんの少しだけ、自分たちが今やっていることに、自信・確信を持てばいい。しかし、多くの人々が外国の真似をしようとしている。私にいわせれば愚かなことだ。そんなことをしなくても、日本人は自分たちの道を探せる。
もっと自信を持てばいい。自分たちがやっていることは間違っていないと。自分たちよりもうまくやっている他人がいれば、そこから学ぶのは当然であり、恥ずかしいことではないが、他人が日本から学ぶような長所を日本人自身が見つけるべきなのだ。
【了】
記事提供:WOWOW