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22試合で22通りの布陣、無限の流動性。ペップ・バイエルンは本当に複雑なのか?

text by 本田千尋 photo by Ryota Harada

22戦目、22番目の布陣

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マリオ・ゲッツェ【写真:原田亮太】

 そこではビブスを使ってタッチ制限が加えられたミニゲームが行われることもなく、これと言って独創的な何かはなかった。もちろん試合前のウォーミングアップにそういったことを期待するほうがおかしいのかもしれないが、バイエルンのそれは「シンプル」の一言に尽きた。体温と集中を高める。それだけだった。

 バイエルンが今シーズンのリーグ戦を試合ごとに先発メンバーを少しずついじりながら、1試合も同じ布陣で戦ったことがないことは周知のとおりだが、対ハノーファー戦でもいわゆる「22番目」の布陣で戦う。

 GKには、ノイアーに代りトム・シュターケが今季初先発する。試合開始時の並びで言えば、右SBラフィーニャ、右CBマルティネス、左CBボアテング、左SBアラバ、ダブルボランチに右からラーム、シュバインシュタイガー、右にミュラー、トップ下にチアゴ、左にゲッツェ、そしてCFにマンジュキッチだ。

 流動的で選手たちが常にポジションチェンジを繰り返すペップ・バイエルンのサッカーは、複雑怪奇なもののように見えるが、それは4列表記の布陣という既成概念をもとに考えるからなのかもしれない。

 布陣ではなく、たった一つのボールを中心に考えてみれば、意外とすっきりしたもののようにも見える。ボールを中心に、人がどう動いて、どのようにゴールまで運んでいくのか。しかしそれが出来るのは、サッカー選手としての知性と技術、身体能力を高次元で兼ね備えた、一部の選手に限られてくるのではあるが。

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