補強はするも難しかった柏の穴埋め
そのほかの新加入選手を見てみると、期待されるのはクリスティアーノだろう。昨季、レッドブル・ザルツブルクからJ2の栃木FCに加入すると、リーグ4位タイの16得点を記録した。
クリスティアーノはストライカーというよりも1.5列目の選手。栃木では右ウイングやトップ下での出場が多く、昨季後半に活躍したパトリックのようなカウンターのターゲットには不向きだろう。
しかし、それは城福浩監督の狙いでもある。昨季は失点数こそリーグ5位の41失点だったものの、得点数はリーグワーストの30得点。今季は攻撃力を高めるためにも、昨季50%を下回る事が大半だったポゼッション率の向上に取り組んでいる。
強力なミドルシュートも持つクリスティアーノが“ゼロトップ”に近い形でチームにフィット出来れば、ジウシーニョと河本明人の2シャドーが前線に飛び出す機会も増えるはず。そこにクリスティアーノが精度の高いパスを出せば、昨季までには無かった攻撃パターンが生まれるだろう。
そのほか、名古屋グランパスからは阿部翔平を獲得。名古屋では、ストイコビッチ監督のもと、左サイドバックとして定着し2010年のリーグ制覇にも貢献。甲府では、左ウイングバックでの起用が濃厚だ。
しかし、右ウングバックとして随一の活躍を見せていた柏好文がサンフレッチェ広島へ移籍。昨シーズン左を務めた福田健介を右に移す事が予想されるが、ドリブルとクロスの本数でチームトップを記録した柏の穴埋めは難しい。
新卒では、日体大主将の稲垣祥と、ともにユニバーシアード日本代表の松本大輝と下田北斗を獲得。稲垣は、豊富な運動量で攻守に貢献できる中盤のダイナモ。松本は、184cmの長身ながらスピードが武器のアタッカーだ。
そして、専修大から加入した下田は、豊富な運動量と強力な左足のキックをもつミッドフィールダーで、ボランチや2シャドーの定位置獲得を狙う。
さらに、U-18からは昨季2種登録されていた若杉好輝がトップチームに昇格した。左利きで、ドリブルとキックの質が高く、城福監督も将来に大きな期待を寄せている。