あまりに濃い新潟のサポーター
始まったのは、一昨年の残留争いの時期からだ。
「俺たちにやれることはまだあるだろ?」
いてもたってもいられない。サポーターの焦りのような思いから始まったのだ。その提案をクラブに持ち掛け、一緒になってすぐに実現してしまえるだけの柔軟性や一体感、両者の距離の近さというものが間違いなく新潟にはある。
このときの新潟が最終節でガンバとヴィッセルを逆転し、奇跡の残留劇につなげられたのは、やはりビッグスワンのサポーターやファンの強力な後押しとは無縁ではなかっただろう。
「新潟には2万5000人のコアなファンやサポーターがついている」
取材過程で何度か耳にした言葉だ。2万5000人のコア。昨季のビッグスワンの観客数平均が2万6000人なのだから、相当な濃縮具合ではないか。
フットボールサミットの予約販売が始まると、アマゾンに予約が殺到した。過去にも“新潟特集”を組んだ媒体が書店からすぐ姿を消したという。
また、今季の新潟はユニフォームを2004年J1昇格当時に使用した縦縞ストライプのモデルに戻したそうだが、これがいま新潟で爆発的に売れているのだという。
なるほど。3000人のバス待ち、2万5000人のコア、アマゾンに予約が殺到、レプリカユニの圧倒的な購買力……。やはり相当に濃いのである。このあたりの現象が新潟の地域性というものを十分に表していると言っていいのだろう。
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