3000人のバス待ち
このほかにも新潟では無数の企画系チケットを販売して、あの手この手で集客の方法を模索していた。今回の僕の取材テーマは、新潟は観客動員の推移についてどう分析をして、どうアイデアを練っているのかを根掘り葉掘り聞くというものだったが、取材を進めて感じたことは、新潟というクラブはサポーターに突き動かされている面が多分にあるということだ。もちろんいい意味で、である。
これは象徴的な話なのだが、取材過程でもっとも驚いたのは、3000人ほどのサポーターやファンたちがチームのバス待ち(※選手たちがスタジアムに入ってくるバスをサポーターが待って向かい入れる)をするということだった。
3000人である。こんなに大勢のバス待ちを僕は聞いたことがない。
写真を見せてもらったが、圧巻だった。大げさかもしれないが、ロンドン五輪後の銀座のパレードを思い出した。何十万人の。監督や選手たちにはすこぶる好評だという。当然だろう。こんなに大勢の人たちに歓迎されて迎え入れられたら誰だって気分が高まるというものだ。
ゴール裏のサポーターだけでは3000人は不可能だ。聞けば、子どもからお年寄りから、車いすの方まで、バス待ちをしたい人が集まれるだけのスペースを設けているのだという。警察に道路使用の許可をとって。関係各所に調整の働きかけをして。それをクラブとサポーターが総出になってやる。サポーターもトラメガを使って交通整理の補助をする。
【次ページ】あまりに濃い新潟のサポーター