サンプドリアの交代が意味するもの
サンプドリア戦の後半1分、ミハイロビッチ監督は「ミランに上回られ、ミスが多くひどかった」という前半の闘いを修正するため、最初の交代カードを左MFに費やした。ウイングタイプのヴショウェクを下げ、本来はセントラルMFでカバーリングにも長けるソリアーノを投入した。
実はこれは、本田が右サイドでうまく動いてボールに触り、展開を動かしていたことの現れでもあった。12分、本田はここから前方のスペースに流れてきたサポナーラにパスを出し、1点目の展開の起点となっている。ただこの場合、肝心なのはその少し前からの流れだ。
10分、縦のスペースに深く侵入し、そこから展開を作る。11分、今度は逆にスペースを閉じられたら少し引き気味にポジションを取り、逆サイドに走りこむターラブへサイドチェンジを狙っている。
その1分後に起点となるプレー自体は、単にサポナーラへ繋いだということだけなのかもしれない。ただそれは本田が右サイドで巧みにスペースを使い、揺さぶった流れから生まれたものだった。
「サイドで組み立て、逆に揺さぶって刺す」というプランは、練習から準備されていたのかもしれない。本田はこの後も何度かサイドでボールを触り、逆サイドへ展開するということを試みていた。もちろん前が向ける時には、前線のパッツィーニへパスを出したり、絞ってシュートを狙ったりしている。
このスペースを閉めなければならなかったのが、ヴショウェクだったのだ。彼は守備において常に本田の後手に回った。攻撃では脅威をもたらすことが出来ず、それどころか本田がしっかり引いて守備をするものだから、左SBコスタの連係も切られっぱなしだった。