補強面と総合力それぞれの診断結果
補強診断 E
ブラジル人選手ら主力組が大量に退団。新戦力で計算できるのは大久保だけ
大幅な戦力ダウンだ。昨季までチームの根幹を支えてきた闘将パウリーニョが川崎、攻撃の中心として16ゴールを挙げたクリスティアーノが甲府、同じく16ゴールを挙げたサビアも松本へ流出。中盤でタクトをふるった菊岡や高木、ディフェンスリーダー當間もいなくなった。レギュラー組がこぞって抜けた今季はゼロベースからの戦いを余儀なくされる。
新戦力はレンタル組が中心。清水から瀬沼や岡根、イ・ミンス、鹿島から鈴木隆らが加入したが多くがJ1で出場機会の少なかった若手選手たちで、果たしてJ2でどれだけ活躍できるかは現時点で未知数だ。確実に計算できるのは唯一、横浜FCから加入した33歳大久保。2季連続で12ゴールを挙げている屈強なポストプレーヤーが前線の軸になるだろう。
昨季までは多額の資金を投じるブラジル人型のチームだった栃木は、今季から育成型へ、全員で闘うチームへシフトすることを明言している。新たな船出となる初年だが現時点のチーム力では苦しい戦いを強いられるはずだ。底上げするには加入した若手選手らの成長が不可欠だろう。
総合力診断 D
まとまれば中位以上の可能性はある。まずは経験を積み重ねる1年に
昨季まで昇格候補に挙げられてきた栃木は大幅に戦力ダウンし、立て直しを図る1年となる。色濃かったブラジルカラーを一層し、全員で闘える集団になるための一歩を踏み出すことになるが、若手や経験に乏しい選手が集まっただけにプレシーズンから、たとえば、「走ること」に労を厭わない姿勢は存分に見受けられる。
「色々なものを吸収しなければ」「ここで結果を出さなければ後はない」といった危機感を抱きながら取り組んでいる選手も多く、そのハングリーさは評価できるが、実際の公式戦でどれだけ稼働できるかは現時点ではかなり未知数だ。
チームを指揮する阪倉新監督は監督デビューとなるが、昨季終盤に監督交代劇があって以降、ヘッドコーチとして10戦7勝させた実質的な指揮官。その「熱さ」は周囲の一致するところで、指揮官自身にも若手を育てようとする気概が十分にあるようだ。
阪倉監督の下、チームがうまくまとまれば中位以上に顔を出す可能性もあるだろうが、勝ち切れずに健闘止まりの試合が増えるようであれば下位に低迷する苦しいシーズンになる可能性はある。若い選手が多いだけに、まずは経験を積むことから。一試合一試合を着実に成長のための糧にしたい。
【了】