キーマンは枝村。DFラインには不安が
西野監督の元で、鍵を握る存在となりそうなのが枝村だ。個の力を生かしたサイド攻撃を好んだストイコビッチ監督とは異なり、G大阪時代の西野監督は連動したパスワークで支配率を高めるスタイルを実現させた。
その当時、遠藤保仁がボランチの位置からゲームメイクを担い、チーム状態や展開次第ではトップ下も務めた。同じ役割が枝村にも求められるはずだ。
とはいえ、枝村は遠藤とはタイプは異なる。それでも、西野監督は「スタイルに選手を当てはめるのではなく、選手がスタイルを作る」という哲学を持っているだけに、守備力の高いダニルソンと組めば、得意の飛び出しから得点を決めるシーンも増えるはずだ。
さらに、成長著しい田口泰士や、負傷からの復活を目指す磯村亮太に加え、期限付きで獲得したブラジル人のヘジスがポジション争いに絡めば、より質の高い中盤が出来上がるだろう。
今季はこれまで以上に闘莉王へ掛かる負担は大きい【写真：松岡健三郎】
ただ、今季の陣容で気になるのはディフェンスラインだ。阿部や田中を放出した事で、サイドバックが不足。キャンプでは3-4-2-1を練習しているため、今季は3バックが有力視される。
その3バックには、中央に闘莉王、左に新加入の刀根、右に昨季開幕戦に先発した牟田雄祐が起用されるだろう。身長199センチのハーフナー・ニッキもポジションを奪う可能性は十分にある。
そのほか、前線には野田が加入。川崎フロンターレや柏レイソルとの争奪戦を制して獲得した万能型FWで、負傷がちなケネディの穴埋めにも期待できる。
そして、新卒では京都橘高から小屋松知哉を獲得。2年生時の全国選手権で得点王に輝き、準優勝に貢献。キャプテンとして出場した今年度の選手権ではベスト4に進出し、大会優秀選手に選出された。50メートル5秒8の俊足にシュート技術の高さが武器の世代屈指のアタッカーだ。
駒澤大から加入したゴールキーパーの野村政孝は、俳優・野村将希の長男で、楢崎の後継者として期待される。
ユースからは、16歳の杉森考起がクラブ史上最年少でプロ契約。昨年のU-17W杯に飛び級で招集された逸材で、欧州からも注目を集めるFWだ。
