ACLでの活躍で「ジャパニーズ・ドリーム」も
ACLに出ないクラブにも有望株は多い。その7クラブすべてから1名だけを選ぶのは至難の業だが、ここではニューカッスル・ジェッツのアダム・タガート(20)を抜擢する。現行のAリーグでは9点を挙げ、得点王レースのトップ・タイに付けている。
調子の上がらないチームを、ケガがちのエミル・ヘスキーに代わって牽引する大活躍を見せる彼の売りは、その得点能力の高さ。左右両足、頭とどこからでも点を決められる能力は、現在の若手の中でもピカイチ。A代表ではキャップ4ながら既に3得点を決める勝負強さを見せるなど将来を嘱望されるストライカーだ。
この4人の中で、ロギッチのブラジルW杯行きは、ほぼ確実。他の3人にも可能性はゼロではないが、タガードの抜擢の可能性は十分に残る。ポスタコグルー監督が、将来の有望株に経験を積ませる意味で、4人のうちの一人でも多くブラジルに連れて行ってくれることを望みたい。
また、ACLに出場する3選手にとっては、ACLの試合すべてが、自らをアピールする良い機会となる。アジアの舞台でのインパクトのある活躍は、当然、代表のポスタコグルー監督も見逃さないだろう。
さらには、そこでの活躍は自らのキャリア・アップに直結してくる。今季からセレッソに加入したミッチ・ニコルスがその前例だ。ニコルスは、ブリスベン所属時に出場した12年ACLで、対戦相手のFC東京のランコ・ポポヴィッチ監督(当時)の目に留まり、今回の2年越しの移籍へと繋がった。これで大活躍すれば、ちょっとした「ジャパニーズ・ドリーム」と言っても良いだろう。
今回紹介した4名に代表される国内で現在進行形で育まれている才能が、来季以降にどんどん日本を含む海外へと飛び立ち、さらなる成長を果たしていけば、豪州サッカー、そしてサッカルーズの未来は明るい。
前線にタガート、左ウィングにはフィッツジェラルド、中盤の司令塔のポジションにロギッチ、それを背後からムーイがサポートする――そんなサッカルーズの未来予想図は、ちょっとした興奮ものだ。彼らの成長を期待しつつのサッカルーズ観察、これからも怠るわけにはいかないようだ。
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