世代交代を上手く進められなかった豪州
先般、フットボールチャンネルに書いた6月のW杯に臨むサッカルーズの論評。その内容が辛辣だと、豪州サッカーの同好の士から指摘を受けた。曰く、「厳しい現状をあそこまであからさまに書くと、それこそ身も蓋も無いだろう」。
豪州番を自称する身として、豪州サッカーの発展を人一倍願っている。だからこそ、豪州サッカーの最高峰たるサッカルーズには強くあってもらいたい。あの論評は、現況を正しく伝える責務もあって少々手厳しくなったが、筆者なりの「愛情の裏返し」ということでご勘弁願いたい。
実際のところ、巷間知られる「世代交代できない豪州」というイメージは間違っていない。“ゴールデン・エイジ”と呼ばれたハリー・キューエルやルーカス・ニールの世代への依存が長かったぶんだけ、豪州はドラスティックな世代交代の機会を逃し続けてきたのは紛れも無い事実。
今回のW杯メンバーにも、マルコ・ブレシアーノ、ティム・ケーヒルといったゴールデン・エイジの選手は、代えが利かないチームの主力として君臨する。本来は、彼らを追いやる選手が出て来なければいけないところだが、そのような新陳代謝が完結しないまま4年が過ぎた。
もう、過ぎたことを語るのはやめよう。今回は明るい未来を語りたいと思い、豪州の未来を担う若い選手にスポットライトを当てた。サッカルーズのW杯挑戦を過小評価した罪滅ぼしというわけではないが、「この選手こそ、豪州の明るい未来」という期待の若手の星を紹介することで、豪州の将来性をきちんとアピールしておきたい。
どうせならば、日本のファンに露出の機会がある選手のほうが良いということで、豪州からACLに参戦する3チーム(ウエスタン・シドニー、セントラルコースト、メルボルン・ビクトリー)から一人ずつ選んだ。それに加え、上記以外の7クラブから1名を選び、現在、国内でプレーする有望選手4名を厳選して紹介する。