LSCJとリバプールFCの密接な関係
新たに生じる課題に対して「何とか前向きに是正して運営していくことが大事」と強調して語る三橋氏は、それでも生まれるスタッフ間の意思のギャップについて「どうするのがベターで、出来ない時はどういう代替案が可能かを考え、そして最終目標を極力決めて進めてきた」という。
完璧を表す「ベスト」ではなく、「ベター」という表現をあえて用いた三橋氏のスタンスには、構造的に抱える制約と向き合いながらも、組織をよりよい方向性に導いていくべく、試行錯誤と改善を何度も繰り返してきた様子が伺えた。
リバプールFCと密接な関係性が構築出来ていることも、LSCJの大きな特徴だ。2011年は、東日本大震災を受けて、リバプールFC協力のもとチャリティーイベントを実施。会場はLSCJが試合観戦会等で利用してきたパブ『FootNik大崎店』。
約100名が参加したこのイベントでは、リバプールFCから特別提供された、選手のサイン入りシャツをはじめとする品がオークションにかけられた。LSCJ代表者の田丸由美子さんは、自身のプライベート観戦で撮影してきた選手の写真をパネルにして会場内に設置。
フリーランスのフォトグラファーとして普段活動し、個展開催の実績も持つ田丸さんの写真のクオリティーは、言うまでも無くプロレベルで、オークション会場の雰囲気づくりにも一役買った。田丸さんの動きはこれに留まらない。
チャリティーオークションの様子をさらに自身のカメラで撮影し、今度はクラブの公式サイトにオークションの様子を掲載させた。クラブのメディア部門責任者も、日本におけるこうした被災地関連活動を、セミナー等の対外活動で積極的に紹介しており、密接な関係性が感じ取れる。
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