スタッフ増員と円滑なコミュニケーションを両立できる理由
スタッフ間のやりとりは、経費を極力最小化するために、メールなどのオンライン形式で行っているという。一般的に、組織内コミュニケーションの質は【1】対面、【2】電話、【3】オンラインツール(テレビ会議やメール等)の順に低下する。
直接顔を合わせて話せばスムーズに進むはずのことでも、メールでのやりとりになった途端に感情的な意見の衝突を生んでしまう事例は、組織運営において枚挙にいとまがない。三橋氏も、スタッフ間で過去に行ってきたビデオ会議を次のように振り返り、非対面でのコミュニケーションの難しさを吐露する。
「私だけの感覚なのかもしれませんが、相手のいわば体温のようなものが感じ取れない。ちょっとカメラから外れてしまうと、相手が何を思っているのか表情をつかめなかったりします」
スタッフ数の大幅増員は、イベントの告知など「人手を要する業務」を強化できるというメリットがある。その一方で、「意思決定を要する業務」においては、経験や知識、視点の差異から生じる意見の相違が生じやすくなる。
もちろん、多様な価値観が組織にもたらされることは大切だが、「船頭多くして船山のぼる」という言葉もあるように、意見の衝突によってスタッフ間に大きな軋轢や疲弊を生じさせかねない。
LSCJでは「スタッフ数の大幅増員」と「コミュニケーションの質の維持」をどのように両立したのだろうか。三橋氏はこの点について「いざという時に対面で話し合うことが可能な状態を維持するために、増員するスタッフを、(LSCJの主な活動拠点となる)関東在住者に絞り込んだ」という。
地理的な観点から方針の策定をしたことが、二律相反する課題の見事な調和につながったと言える。なお、打ち合わせにやむを得ず欠席したスタッフとのやりとりは、方法を模索した結果、作業や資料の共有にあたって最も使い勝手がいいということで、「サイボウズLive」の活用に今は落ち着いているという。