熱血漢、トゥヘル監督の哲学とは?
「私の哲学は第一に選手を成長させること。そのためにいいトレーニングの雰囲気を作り、できる限り選手を後押ししようとしている。彼らの自主性、自分で課題を解決できる力を育てたいとも考えている。その一助として、私は選手にたくさんのフィードバックをしている。
ビデオを使ったディスカッションやちょっとした会話も常日頃から行っている。パフォーマンスが悪かった時には批評もする。もちろん選手へのリスペクトも忘れないようにしているよ」とドイツきっての若手監督は、手腕を認められた育成時代のアプローチ方法を生かしつつ、工夫を凝らしながら選手個々の成長を促しているという。
岡崎は「毎試合怒られてばっかりなんで、ホント頑張らないといけない。4連敗した後の(10月5日の)ホッヘンハイム戦の時なんか、直前に監督主導のミーティングがあって『みんなハーフタイムに俺の指示を待ってるだけだし、何もしゃべってないじゃないか』と言われて、結構当たってるなと思った。
『監督の怒り方がすごくてみんなビビッてサッカーやってる』という誰かが意見を言ったりして、1時間半も話し合いをしましたね」とトゥヘル監督の熱血漢ぶりを改めて口にした。その激情ぶりに引っ張られすぎたのか、シーズン序盤は10試合もゴール欠乏症に陥った。
だが、「ドイツ人の監督は点取れなくて落ち込んでても地獄に突き落とすくらいの勢いで怒る。僕はその反骨心でゴールにこだわろうと。怒られても取りに行くことを決意したんです」と開き直り、ゴール量産に結びつけた。前半戦だけで8ゴールを奪い、後半戦にも1点を追加した彼は今、ドイツ初の2ケタ得点達成目前まで来ている。
【次ページ】左サイドからトップへコンバートさせたワケ