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試合巧者だったアトレティコ。セードルフ体制で最高の試合で、ミランはなぜ敗れたのか?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

機能していたポーリ

試合巧者だったアトレティコ。セードルフ体制で最高の試合で、ミランはなぜ敗れたのか?
カカが頻繁にポジションを変え、誰にマークを付ければ良いのか迷わせる【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 対面にファンフランのいる左にはバロテッリやカカが頻繁にポジションを変え、誰にマークを付ければ良いのか迷わせる。一方、右ではターラブトに個人技を仕掛けさせる。小気味よいフェイントで複数のプレスをかわし、鋭いカットインで内側にも入る。正直リーグ戦での本田よりも、このポジションでスムーズに攻撃へと絡めていた印象だ。

 また、ポーリの抜擢も奏効した。彼の持ち味は中盤でのハードワークにあるが、攻撃的なトップ下で起用しても機能していた。足元にボールを貰うことに固執せず、積極的にスペースに飛び出したりサポートに動いたりで、パサーとは別の意味において繋ぎに参与していた。

 そんな形で、中央の密集地を避け、相手が不安を抱えるサイドから仕掛けを図ってペースを握るミラン。前半は完全にゲームの流れを支配していたのだが、それは持続しなかった。

 アトレティコ・マドリーは、相手の攻撃を凌ぎつつチャンスを待つ術を知っていた。さすがはあのリーガ・エスパニョーラで、攻撃的なチームに対して受けに立ち、首位に立っていたチームであるミランがペースを上げた前半にも慌てず、少しずつ修正を図っていった。

 中央は固め続け、ボールは支配されてもシュートは許さない。そして前半から飛ばしていたミラン陣営の足が止まってくるのを見計らい、少しずつボールを繋いでペースを差し戻した。

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