岩政から見たタイサッカーの印象
1月からチームに合流して、一ヶ月が過ぎた。練習試合では最終ラインから一際響く声でポジションニングやマークを指示し、身振り手振りも交えて味方に要求を伝えようとする。身を持ってタイのサッカーを体験して、「日本と比べればまだまだな部分が多い」と率直に語る。
「試合において守備ではどこで相手にプレッシャーをかけ、ボールを取りに行くのか、もしくは今待つべきなのか。攻撃においても、今は早くパスを回すべきなのか、ドリブルをするべきなのかという要求、判断のレベルで違う。
練習や試合に対する取り組み方も甘いので、自分は大げさにでも、プロとはこういうものだと知らせなくちゃいけない。それを見てタイの人が何を感じて、どのように変えていこうと思うか。受け入れてもらえなくても、1年間、それを示し続けて、そんな奴がいたな、くらいにでも彼らに指針を示さないと」
困難も承知の上で、まったく異なる環境にあえて身を置き、そこから自分が何を感じるのかを見てみる。彼らしい選択と言えばそれまでだが、アジア各国でも日本人がプレーする時代になって、サッカーキャリアの一つの選択肢ともいえる。日本だけにいたら得られない経験を今後、サッカー界に還元することができる。
これからのタイでのシーズンが彼の中に何を残し、タイのサッカーに何をもたらすのか。
「この1カ月間も、日本ならいつもの1カ月ですけど、なかなか濃い1ヶ月が過ぎている。1年というのが長く感じそうだなと思っています」
その言葉からは、早くも今回の挑戦の成功がうかがえる。
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