セカンドキャリアのために何をするのか
今年1月には32歳を迎え、サッカー選手としてはベテランの域に入っている。タイ移籍は次のキャリアも見据えた決断でもあった。
「僕は引退した後、サッカーの世界に残ると思います。監督、強化部、フロントか分からないですけど。その時に外国人選手を呼んでも、日本しか経験していない僕に何が分かるのか、となる。海外で感じられること、行かなきゃ分からないことが絶対にある。それを知っておかないといけない、というのもありました。
海外に出て僕が幸せかどうかは別にして、一度外に出てみようと。僕がどんな反応をして、選手たちとどうチームを築いていけるか。僕の中では、残り少ないサッカー人生はセカンドキャリアのために何をするかということしかあまりない。選手としての価値を高めるとか、そういう観点ではあまり考えてないですね」
そのアイデアは以前から温めていたものだったという。ただ、チームから必要とされる状況で出るつもりはなかった。そんな中、昨季のリーグ戦後半、世代交代を進めていく鹿島で出場機会が減っていく。
「もちろん悔しい。悔しくなくなったら引退するしかない。毎週試合のために準備をして、なのにベンチに座って試合を見る。その繰り返しは正直、苦しかったです。ただ、僕は物事には必ず良い面、悪い面の2つの要素があると思っています。出来事自体に意味はなくて、意味を持たせるのは自分自身。
今回もメンバーから外されて、試合に出られないとか、給料が上がらなくなるとか、色んなマイナス面がある。じゃあ、プラスの面は何かと考えた時に、この2、3年あった外に出たいという思いをやっと叶えるタイミングが来た、というのがあった」
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