DFラインにも頼れるバックアッパー
昨シーズンのC大阪で最も改善を見せたのは、守備陣の安定だった。最終節まで残留争いを強いられた一昨シーズンから総失点は21も減り、J1でも3番目に少ない失点数でシーズンを終えた。
堅守を支えた山下達也と藤本康太を中心におそらく来季も不動の4バック+GKが主戦力となるはずだが、バックアッパーの拡充にも余念がない。京都でも完全にレギュラークラスだった安藤淳と染谷悠太を揃って獲得すると、北九州で昨年40試合に出場したGKの武田博行を補強、丹野研太も復帰を果たした。
クラブ創設20周年にあたる今年、C大阪は「史上最攻~時は、来た。~」のスローガンを打ち立て、クラブとして攻めの姿勢を徹底的に貫くことを誓った。
類まれな選手を次々と輩出し、アジアへの挑戦権も再び獲得、推定新規入場者数でもナンバーワンを記録した。「このチャンスを逃さない」――。フォルランの獲得はクラブのそんな意気込みの表れのようにさえ感じられる。
今、彼らの前に風が吹いている。創設以来初となるタイトル獲得に向け、21度目の挑戦が始まる。
補強診断 A-
補強の質と量はJ1でも最右翼か
主力若手選手を残留させ、手薄なポジションを着実に補填。選手はいずれも即戦力レベルで、さらにはフォルランという世界的スターの招聘にも成功した。最終ラインに負傷者が相次いでいるが、いざとなればカチャルを起用することもできる。長いシーズンを戦い抜くに十分な戦力を得た。補強の充実ぶりからも、クラブの熱意が感じられる。
総合力診断 A-
タイトル獲得の鍵は「勝負強さ」
昨シーズン目立ったのは、ここ一番での勝負弱さ。第33節の鹿島戦はその典型例で、試合を完全に支配していながら、相手のセットプレー2本の前に屈しタイトルにあと一歩及ばなかった。
勝ち試合でも試合終了間際に失点するケースがあり、「逃げ切る強かさ」には欠けた。選手のポテンシャルと将来性は間違いない。チームとしてどこまで成熟ぶりを見せられるかが課題であろう。
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