単純な得点力増加だけではないフォルラン効果
そして、やはり触れなければならないのは、2010年W杯でMVPに輝いたあのフォルランであろう。彼がもたらすものは限りなく多い。
まずは、シンプルだが得点力。昨年、21得点と大暴れし文字通りチームを引っ張った柿谷だが、C大阪で2桁得点を奪ったのは意外にも彼一人だった(次点は山口の6得点)。
これは柿谷への負担の大きさを如実に示す数字であり、最終節までACL圏争いを演じた上位6チームのうち、2桁得点者が1人しかいなかったのはC大阪のみという数字もある。「柿谷依存」というささやかな悩みを、C大阪はフォルランというS級戦力の獲得で打破を試みたのだ。
フォルランは柿谷の一列背後、トップ下での起用が濃厚だと見られている。柿谷とは前後の関係を組むことになるが、世界でも指折りのミドルシューターであるフォルランがボールを持つことで、相手DFの柿谷への意識が薄まることは間違いない。
また、柿谷が相手の背後へ動き出せばその分フォルランにも自由が生まれ、これ以上ない相乗効果を生むはずだ。また、今シーズンからキャプテンを務める山口蛍が「チームになかったフリーキッカーという役割もこなすことができる」と期待を寄せるように、フォルランにはプレースキックという武器もある。
C大阪はこの冬、杉本健勇の残留と永井龍の復帰も実現させている。両者ともにポテンシャルは十分で、柿谷のように“化ける”可能性も秘める。この両者に加えて柿谷とフォルランを擁する今シーズンのセレッソ大阪は、J1でも最高レベルのFWを揃えたと言えるだろう。
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