大きな収穫、西川の補強
多くの人材が浦和から抜けたが、いずれの選手もミハイロ・ペトロヴィッチ体制では控え組だったため、戦力流出というよりは人員整理の側面が強い。そして西川周作、李忠成、青木拓矢と即戦力級の3選手を加えられたのだから、移籍市場では有益な取引ができたと言っていいだろう。
そのなかでもっとも大きな収穫だったのは、サンフレッチェ広島から西川を獲得できたことだ。GKのポジションは指揮官の悩みの種となっていた。
浦和では加藤順大が2011年途中から正GKを務め、2012年にペトロヴィッチ監督が就任してからも加藤がずっとゴールマウスを守ってきた。ミシャサッカーでは自陣から丁寧にボールをつなぐことが求められるが、足元の技術が高い加藤はうってつけの人材だった。
しかし、昨シーズンはGKの「本業」の部分で不安定なところを覗かせた。一歩目の飛び出しが早いといった思い切りの良さが特徴ではあるが、それが裏目に出て致命的なミスにつながったり、クロス対応で不安を感じさせる場面も何度かあった。また、本来は武器であったはずのボール扱いでもミスが散見されるようになった。
そこで、ペトロヴィッチ監督は、シーズン途中に加藤から山岸範宏に正GKを変える決断を下した。山岸はかねてより定評のあったシュートブロックで存在感を示し、ベテラン健在をアピールした。
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