ネイマールがよく“飛ぶ”ワケ
リマは選手の能力を見抜く経験と眼力があった。彼はネイマールの才能をこう表現する。
「今のバルセロナの試合を良く観てごらん。ファールを受ける瞬間、両脚を空中に浮かせていることが多い。身体を浮かせることで、衝撃を和らげているんだ。彼は子どもの時から本能的に身体を浮かせていた。これは教えられないことだ」
ギリェルメはリマたちと日々接することでサッカーを学んでいるという実感があるという。
ギリェルメは単にサントスの下部組織出身というだけではない。彼は60年から67年までサントスでプレーしたメンガウビオの甥に当たる。メンガウビオは、ペレ、リマたちの同僚だった。子どもの頃から、サントスの空気を胸いっぱいに吸って育ったギリェルメは、このクラブの伝統を引き継がなければならないと考えている。
これこそがサントスから素晴らしい選手が産まれ続ける秘密であるとぼくは思う。
日本人の自分にすれば、ブラジルはポルトガル人の発見から数百年しか経っていない歴史の浅い国だ。だからこそ、なのかもしれないが、サッカーでは歴史を大切にする。
前述のサントスの記録映画では、ロビーニョが出演し、サントスの過去を饒舌に、そして愛情たっぷりに話していた。嬉しそうに話す様は眩しい程だった。
そして、今、サントスにはネイマールに続く選手たちが育っている。
「子どもたちは影響を受けやすいので個別の名前を出すのは避けさせてくれ」とギリェルメは前置きした。
「2001年生まれの選手の中には、ロビーニョ、ネイマールと同等、あるいはそこに近い選手が出てくる可能性が高い」
ペレと一緒にプレーしたリマが彼らを見つけ、教えている。少年たちは、フッチボウ・アルチの伝統に繋がっている。だから、白いユニフォームを着た『サントスの餓鬼ども』(メニーノス・ダ・ビーリャ)は特別なのだ。
【『ネイマールの才能はいかにして磨かれたのか?』シリーズ了(次週に続く)】
関連リンク
ネイマールの才能はいかにして磨かれたのか?(その1)
ネイマールの才能はいかにして磨かれたのか?(その2)
ネイマールの才能はいかにして磨かれたのか?(その3)
サントスはなぜ“至宝”を育成できたのか?