“ワン・ツー”ではなく、言ってみれば“ワン・スリー・ツー”
一例をあげれば、いわゆる“ワン・ツー”は“パスを出したら走る”、“トライアングル”を作ることがその半ば絶対的な概念(目的)とされています。もちろん現バイエルンでも同じような動きが実戦されているとはいえ、ことペップの指揮下では“必ずしもそうではない”プレーが多用されるのです。
平たく言ってしまえば、パスを出しても意図的にそこに留まる、走らないということですね。その上で、彼の4-3-3の特徴が両サイドを広く使うことも周知の通りですが、そのサイドにおいて、相手の守備網を破るためのプレー(ポゼッション)が基本的に3人セットで行われる。これもまたひとつの注視すべきポイントです。
つまり、ワン・ツーの“ツー”は多くの場合で囮と化します。走る“ツー”に“基本通り”パスするのではなく、“スリー(3人目)”を使うということです。
これが実践されている具体例はファンの方々も試合で何度も目にしていると思いますが、言うまでもなく、守る側からすればこれは実に厄介です。“ワン・ツー”ではなく、言ってみれば“ワン・スリー・ツー”。これが様々な形(組み合わせ)で連続するのですから。
「“ペップのロンドス”にはそのすべてが一度に含まれています。結果として、いわゆる『どん引き』で守る相手を前にしてもバイエルンは見事なパスワークでその守備網を破ってみせるのです。
加えて、ここで言うスキルは逆の場面、すなわち自分たちの最終ラインが敵のプレスを受けている際にも極めて有効となります。ここでも彼らは見事なパスワークでプレスをかいくぐってみせるのです」
【了】