信頼しているからこその選手自身によるコンディション管理
――INACの強さを支えているのは、選手の意識の高さなのですね。
「選手たちの意識の高さに、本当に僕が成長させてもらった1年でした。僕が監督として勝たせたなんてまったく思っていなくて、僕が全体を見ていろんなところでバランスは取りましたが、僕の考えだけを選手に伝えて勝たせたなんてことはありません。
でも選手全員が同じ意見かというと、もちろんそうではない。個々がいろんな方向にいかないように、僕やスタッフが意見をミックスさせてきたんです。
意識の高い選手が多い分、2013年シーズンはコンディション管理というのもテーマにしていました。サッカー選手は長いシーズンを乗り越えるために気持ちのリフレッシュがとても大事なので、2013年シーズンは試合開催した会場で解散することをOKにしました。
メディア対応など仕事でチームを抜ける選手は以前からいましたが、希望する選手に新幹線の回数券を渡すようにした。だから試合日の夜と翌日のオフは、遠征先の友人に会いに行く選手もいましたよ。気持ちをリフレッシュさせるために、オフには一旦サッカーから離れて欲しかったんです。
こういうことをすると収拾がつかなくなり、取り乱す選手がいるんじゃないかと思うでしょうが、女子サッカー選手って飲み遊んだりすることはなくて、自覚があるんです。
オフの前日は多少の夜更かしがあるかもしれないけど、それも限度を知っている。ひとりでも限度を超える選手がいたら途中で止めていたでしょうけど、試合に出られない選手は、神戸に戻り、オフの日に練習をしているんです」
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