「高い目標に向かって進んだ結果の4冠」
プレナスなでしこリーグのINAC神戸レオネッサは、プレナスなでしこリーグ、リーグカップ、皇后杯(男子の天皇杯に相当)、モブキャストカップ国際女子クラブ選手権(男子のクラブW杯に相当)でいずれも優勝を収め、史上初の4冠を勝ち獲った。
リーグ戦で2位以下に圧倒的な差をつけたINACの強さは、確かに際立っていた。なでしこジャパンの選手を多く抱える一方、怪我人や途中退団選手がいた中でも、常に勝者であり続けた、その強さの理由とは一体何なのか。
女子チームの監督初年度ながら、チームに多くのタイトルをもたらした石原孝尚氏にその裏側を明かしてもらいながら、女子サッカーの指導者としてアメリカでさらなるレベルアップを図る、その意義を問う。
――2013年シーズンのINACは4冠を達成し、獲れるタイトルはすべて獲った充実のシーズンだったのではないでしょうか?
「そうですね。もしかすると、世間的な評価では元々の選手の質が高かったから、優勝したというところかもしれないですが、選手があぐらをかいてやっていたわけでは、もちろんありません。
INACは選手とチームが契約を結んでサッカーに専念できる環境なので、全員で毎回の練習は質にこだわっていたし、スタッフ陣もスカウティングや分析を欠かさず、当たり前のことも当たり前にやりました。チーム内で意見をぶつけ合うことも無いわけじゃなかったんです。
INACは本当にいい選手がいます。でもJリーグを見ても分かる通り、サッカーは選手の質だけで勝ち続けられるスポーツじゃない。高い目標に向かって進んだ結果の4冠でした。年間296回の練習やゲームをして、週末の試合に出場できなかった選手には10時30分のチーム練習の前に、8時30分から体幹トレーニングや900m×8本を走るメニューを入れたりもしました。
オフ明けのチーム練習は基本午後からですが、出場時間が少なかった選手は午前にも練習しました。選手は華やかに見えるから、こんな地道に練習するイメージは一般的にないかもしれないですが、そうやってチーム全体の底上げを図っていたんです」