かつては酷評された選手の復活
その過程では、実戦を通じて若手を育てながら、効果的な補強も行ってきた。チームの前線では、揃って昨年1月に獲得した、ダニエル・スタリッジとフィリペ・コウチーニョが良い例だ。
マンチェスター・シティとチェルシーで伸び悩んだスタリッジは、ロジャーズの下で、今夏のW杯レギュラー当確と言われるイングランド代表FWに成長した。新プレーメイカーのコウチーニョとスタリッジの息が合わなければ、リバプールが昨季終盤から今季序盤までの10試合に及ぶ、ルイス・スアレスの出場停止に耐えることは難しかった。
後列にも、ジョーダン・ヘンダーソンとシモン・ミニョレという好例がいる。11年に移籍したヘンダーソンは、巷で「1600万ポンド(約27億円)の無駄遣い」と言われ始めていたが、翌年からのロジャーズ体制では、トップ下やアウトサイドもこなす万能性のみならず、センターハーフこそが天職と思わせるインパクトを見せている。
昨年12月のトッテナム戦では、スティーブン・ジェラードの欠場を忘れさせる存在感で、快勝(5-0)の原動力となった。ペペ・レイナを放出して昨夏に迎えたミニョレは、デビュー戦でのPKストップを皮切りに、要所で好セーブを繰り返している。
しかしながら、ロジャーズのリバプールは、良く言えば「一途」だが、悪く言えば「ワンパターン」だった。システムは3バックから3トップまで変化があっても、指揮官は「陣形がどうであれ、狙いはボールを支配して攻めること」と頑なだった。
立派な姿勢だが、結果に目を瞑り続けるわけにはいかないビッグクラブの姿勢としては裏目に出ることもある。
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