2部でも5万人の観衆
1.FCケルンのスタジアムは、ホームゲームとなると、ドイツ国内でも有数の雰囲気を創り上げていく。毎試合5万人近い観衆をその懐に抱いて、選手たちがまさにピッチに足を踏み入れるその時に、「ケルン方言」で歌われるチャントは、自然と歌う者と1.FCケルン、引いてはケルン地方を一体のものとするだろう。
その光景は2部のものとは思えない。が、2部にもかかわらず、という物の見方が、間違いなのだ。2部も1部と繋がっている。それもまたブンデスリーガの世界であることに変わりはない。
2014年2月10日、ブンデスリーガ2部第20節、ケルンはホームに8位SCパーダーボルン07を迎え撃った。ケルンは前節終了時点で勝ち点39と、2位グロイター・フュルトに4ポイントの差をつけて、首位をひた走っている。
来季の1部昇格はほぼ間違いなしと見られ、スタジアムへと向かうトラムの中では、昇格をはや確信したのか、サポーターはどこか緩やかな雰囲気を醸し出している。穏やかなスタジアムの空気の中で、長澤和輝は、チームメートとともに、笑顔でボール回しに興じている。長澤は、初めてとなる海外での公式戦を、ベンチメンバーからスタートした。
試合は大方の予想を覆すゲーム展開となった。それまで32失点と2部ワースト2位タイの失点数であったパーダーボルンが、4-1-4-1の布陣で、ワンボランチのパトリック・ツィーグラーを中心に、意外にも堅実な守備を敷いた。
ケルンはFWパトリック・ヘルメスへのロングボール、FWアンソニー・ウジャーのポストプレーを中心として、右SHマーセル・リッセ、右SBミショ・ブレチコがサイドアタックを仕掛けていく。が、なかなかゴールまで迫ることが出来ない。パーダーボルンのツィーグラーが、中盤へと顔を出すヘルメス、ウジャーの両FWを実に丁寧にケアした。