アーセナルで出場機会のない日々
宮市は出番のなかった悔しさを押し殺しつつ、終始、笑顔ですがすがしいメディア対応をしていた。この明るく前向きな姿勢があれば、ザックジャパン定着も近いだろうと周囲も確信していたはずだ。
実際、指揮官も6月の最終予選3連戦に彼を帯同させ、チームになじませようとしていた。だからこそ、宮市にはイングランドでのコンスタントな活躍が必要だった。
けれども、2012年8月にウィガンへ3度目のレンタル移籍をした後に再びケガで長期離脱を強いられ、貴重なチャンスを逃した。2013年夏にアーセナルに戻ってからも出場機会に恵まれていない。
ブラジルW杯の隠し玉になるかもしれなかった「未完の大器」は果たしていつ表舞台に再び戻ってくるのか。期待しているファンも多いが、厳しい状況にあると言わざるを得ない。
プレミアリーグで首位争いを続けるアーセナルのポジション争いは激しい。ケガ人が続出した時期も出場機会が巡ってこなかったことを考えると、今後劇的に彼の立場が変わるとは考えにくい。
冬にレンタル移籍を選択しても良かったが、彼はチームに残留した。ゼロとは言えないが、ブラジル行きの可能性はかなり低くなったと言える。
だが、宮市には4年後も十分にチャンスはある。1992年生まれ、21歳の彼にはそれでも遅咲きではないのだ。
【了】